オーロラの歌



苦しい。


息が、できない。



悪霊が全てあたしの中に入って数時間、あたしは動けなかった。


悪霊に拘束されているような、あたしと完全に融合しようとしているような。


そんな感覚になった。



呼吸をするのがやっとの、自由がきかない時間。


うっすらとあたしの神経に触れているのは、悪霊が注いでる闇の成分。


意識が保てなくなって、途中で気絶してしまった。




目が覚めたのは、夜のこと。


カーテンの隙間から、柔らかな輝きを放つ月が見えた。


近くにハルシオンのページが置いてあり、契約のことを思い出した。


あたしはハルシオンのページを、また鍵付きの引き出しに入れた。



『……あ』



そこで、気がつく。


体を動かせることに。



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