オーロラの歌



特に、以前とはあまり変わりはない。


気分も、気持ちも、機嫌も、体調も、悪くはない。


あれ?あたしって、悪霊と契約交わしたんだよね?


ハルシオンをした形跡となる印も、見当たらない。


なんだか不安になってきた。


あれは全部夢だったんじゃないかと、疑いたくなる。



一応、印が背中にないか、鏡を見て確かめようとした。


けれど、鏡の前に立って、驚いた。



『な、にこれ』



あたしに纏いつく、濃い霧のようなもの。


ううん、これは霧じゃない。


もしかして、悪霊の一部が漏れているの……?



本当に、あたしと悪霊は手を組んでしまったんだ。


そう実感したら、乾いた唇が震えだして、歯を噛みしめた。



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