オーロラの歌
あたしを覆っていた悪霊の一部が、スーッ、とあたしの中へと姿を消した。
……やっぱり、あたしは闇の住人になったんだ。
怖い、けど。
後悔はしていない。
『行かなくちゃ』
明日が来るまでに、やらなければいけないことをしなくては。
あたしは鍵付きの引き出しの上にあるケースから、護身用に持っていたナイフを取り出す。
ギラリと光るナイフに、あたしの顔が映る。
何の感情もない顔が。
ひっそりと自分の部屋を出て、広間へ向かう。
もうすぐ夕飯の時間だから、アンジェラスもそこにいるはず。
廊下を、静かに歩いていく。
月明かりが、あたしを不気味に照らした。
『イービル姉様』
背後から、あたしを呼ぶ声がして振り返ると、あたしに駆け寄ってくるアンジェラスがいた。