オーロラの歌



不意に、脳裏をかすめる、五歳の誕生日の記憶。


そうだ。あの日の朝も、こんな風にアンジェラスがあたしに近寄ってきたんだ。


とても懐かしくて、要らない過去。



『朝から見かけなかったから、心配してたの』


『あら、そうだったの。心配してくれるなんて、優しいわね』



やめてよ、アンジェラス。


いい人ぶらないで。


本当に優しいなら、あたしに王の座を譲ってよ。



『明日、即位式だけど緊張してる?』


『う、うん、緊張しまくってるよ。でも、お父様のように強く凛々しく、お母様のように穏やかに優しく』



アンジェラスはあたしをじっと見つめて、『そして』と続ける。



『イービル姉様のように誠実で真っ直ぐな女王になりたいから、頑張るね!』



あたしのように……?


アンジェラスの瞳があまりにも澄んでいて、あたしは目を見開く。



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