オーロラの歌



あたしはにっこりと微笑んだまま、隠し持っていたナイフを出した。


そのナイフに、アンジェラスは驚く。



『そ、それ、なんで持って……』


『あたしのお願い、聞いてくれる?』



アンジェラスの怯えた表情が、あたしの殺気を誘う。


聞いてくれるわよね?


だって、あなたは誰よりも優しい子だもの。




『あたしのために、死んでほしいの』


『……え?』




あたしの顔から、笑顔が崩れる。



『う、嘘でしょ?なにかの悪い冗談なんでしょ?』


『………』


『ね、ねぇ!イービル姉様!!』


『………』



アンジェラスの叫びに、あたしは何も答えない。


答えたくない。



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