オーロラの歌
あたしが一歩近づくと、アンジェラスは急いで二歩下がった。
あたしの前ではいつも笑っていたアンジェラスが、今は泣き出しそうな顔をしている。
滑稽だわ。
『ど、どうしてよ……』
ポロッと溢れたアンジェラスの涙と呟きに、あたしは目を鋭くさせる。
アンジェラスに迫って、ナイフを振り上げた。
『どうして、私を殺そうとするの!?』
どうして?
そんなこと、聞かなくてもわかるでしょう?
あなたが、嫌いだからよ。
あたしが、女王になりたいからよ。
『……っ』
アンジェラスの頬を、涙が絶え間なく流れる。
あたしは同情することも躊躇することもなく、声を押し殺して泣くアンジェラスに、ナイフを振り下ろした。