オーロラの歌



ナイフの先端は、アンジェラスの心臓ではなく腕にかすって。


怯えたアンジェラスは、間一髪のところでナイフから逃れられた。



『た、助けて、誰か……』



もう一度、ナイフを振り上げる。


今度こそ、仕留めてみせるわ。



すると、



『イービル、何をやっているんだ!!』



静かな廊下に、お父様の声が響き渡った。


声のした方へと視線を移せば、そこにはお父様とお母様が。



『何って、見ればわかるでしょう?』



殺そうとしているのよ。


あたしが、妹を。


殺気を醸し出すあたしに、お父様とお母様は『どうして……?』と、アンジェラスと同じことを呟く。



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