オーロラの歌



ずっとあたしを見ていたのなら、『どうして』なんて言わない。


そんなことを聞いてくるということは、あたしのことをどうでもいいと思っていたからでしょう?


あたしよりもアンジェラスを、優先していたからでしょう?



普通は、気づくはずだ。


あたしが、ここまで殺意を抱え込む前に。


なのに、あなた達はあたしを放っておいた。



『に、逃げなさい、アンジェラス!』


『でも……』


『逃げなさい!』



アンジェラスはお母様の命令に従おうと、あたしから逃げていった。


あたしの殺意は、変わらない。



『どこへ逃げても、あたしは必ず殺すわ』


『イービル、そんなことやめなさい!』



お母様が怒るのも、よくわかるわ。


王族が犯罪者になるのは、食い止めたいのでしょ?



< 294 / 888 >

この作品をシェア

pagetop