オーロラの歌



お父様を支えるお母様の瞳は、潤んでいた。


不意に、アンジェラスの五歳の誕生日の日、お父様とお母様が話していた、いやしの歌の話を思い出した。


あまりよく聞いていなかったけど、いやしの歌の能力の仕組みは覚えている。


もしかして、昔から国王が短命なのって……。



『イービル!!』



お母様が、だんだんと呼吸が浅くなっていくお父様を抱きしめながら、あたしを睨んだ。



『あなた、よくも自分の父親を……!』



え?


何を言っているの?


あたしは確かにお父様を殺そうとしたけど、実際はナイフは刺さらなかった。


それに、心臓から血は出ていない。


見れば、わかるでしょ?


あたしはお父様を殺してない。



なのに、どうしてお母様はあたしを責めるの?




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