オーロラの歌



お母様の血が、あたしに飛び散る。


あたしの髪色のような、赤い血。


両親が目の前で死んだのに、感じるのは気持ち悪さだけ。



『次は、アンジェラスね』



お父様の横に倒れたお母様を置き去りにして、あたしは城全体を探す。


廊下ですれ違った使用人は、もちろん皆殺し。



『“ウィケッド・ナイトメア”』



ハルシオンをしてできる魔法の一つである、悪霊を操って相手に悪夢を見せる魔法。


あたしは、その魔法の呪文を唱えた。


魔法をかけられた使用人は、最高の悪夢に苦しみながら闇へと堕ちる。


あたしが止めを刺す前に死んでいくこともある。


そのおかげで、無駄に手を汚さずに済んだ。



セイント城は、死体と血だらけ。


どんなに探しても、アンジェラスだけは見つけられなかった。



『どこにいるのよ』



どこかに隠れているの?


もしかして、城の外に逃げた?



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