オーロラの歌




翌日、あたしは新たな女王に即位した。


殺してしまった使用人の代わりを集めて、催眠魔法をかけて、一人また一人と下僕を増やしていった。



二年後、ジャック様との子どもが無事に産まれた。


可愛らしい、男の子だった。


息子が国王になるまでは、あたしの優秀な右腕になってもらおうと、あたしは息子にも催眠魔法を色濃くかけた。


あたしは、ジャック様に息子の教育を任せて、成長に期待した。



しかし、息子が五歳の誕生日、息子は何の能力も発動しなかった。


息子にはあたしと同じような思いをしてほしくなくて、いやしの歌が授けられていることをずっと願っていた。


それなのに、その願いが裏切られ、悲しみと憎しみが膨張して。


八つ当たりをするように、教育が甘かったと理由をつけて、ジャック様を殺した。





数年後。


あたしは、数人の下僕にアンジェラスを探させていた。


そして、ついに、ジェネシスの森に住んでいたアンジェラスを発見した。



『……残念ながら、アンジェラス様は既に亡くなっておりました』



下僕の報告に、驚きと動揺と混乱があたしの心を埋め尽くした。


アンジェラスが死んだのは、先月のことだった。



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