オーロラの歌



あたしが殺人者ということを知っているアンジェラスは、あたしが直々に殺してあげようと思っていたのに。


もう死んでいるですって……?



『女王様、もう一つ、ご報告がございます』


『何?』


『アンジェラス様には、一人の子どもがおりました』



アンジェラスに、子ども?


再び、悪夢の幕が上がる音が、確かに聞こえた。




『その子どもは、いやしの歌の能力を持っているようです』




グラリ、と視界が曲がる。


時間が止まったような気さえした。


いやしの歌を、アンジェラスの子どもが?


これは、神様の陰湿なイタズラかしら。


どれだけ神様はあたしを嫌っているの?



ねぇ、アンジェラス。


あなたは死んでしまっても、あたしを苦しめるのね。


本当に、心の底から憎たらしいわ。



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