オーロラの歌
切なげに微笑むオーロラに、俺とシエルは顔を見合わせて、困ったように肩を下げる。
「私ね、さらに危険になるからって、逃げてばかりじゃダメだって思ったの」
「でも、俺達で何とかできるような問題じゃねぇだろ?」
「女王様の狙いは、私だから」
だから?
だから、何なんだよ。
お前が狙われてるせいでこの国は荒れてるから、お前は責任を取ろうとしてるのか?
それともお前は、女王様が殺したがってる自分とだったら、女王様が好奇心でちょっとは聞く耳を持ってくれるとでも言いてぇのか?
「で、でも……」
「私が行動することで何かが変わるなら、どんなことだってやりたいの」
……そういうのを、自己犠牲って言うんだよ。
「後悔したくないから、私はこの国を救うためにセイント城へ向かうよ」
俺達が何を言っても、オーロラは意思を曲げたりしない。
オーロラの決意は、固くて強い。
そんなに小さくて脆い体なのに、どうしてそこまで強い心を抱けるのだろう。
「オーロラだけを敵地に行かせるわけにはいかない」
「そうだよねぇ」
「……はぁ、しょうがねぇな」
俺達三人は、オーロラを守る騎士。
オーロラが行くのなら、俺達も行くに決まってる。
たとえ、悪魔が待つ地獄に行くことになっても。
俺は、オーロラのそばを離れたくはないから。