オーロラの歌




「皆……!」


「それじゃあ、次の目的地はセイント城で決まりだな」


「ありがとう!」



オーロラの嬉しそうな笑顔を見たら、高く積もっていた不安が吹き飛んだ。


きっと俺は、オーロラの頑固さには一生勝てない。



ふと横を見たら、シエルがまだ不機嫌そうに渋い顔をしていた。


オーロラとは俺とグリンよりも付き合いが長いシエルは、ずっとオーロラに振り回されてきたのだろうか。


苦労しても、戸惑っても。


この旅についてきたくらい、オーロラのそばにいたかったのだろうか。


……それほど、シエルはオーロラのことが好き、なのだろうか。



無意識にシエルをガン見していたら、俺の視線に気づいたシエルと目が合ってしまい、反射的に反対の方向へと、グルッ、と顔を背けた。


やばい。つい、目をそらしてしまった。


絶対、シエルに変なふうに思われた!!



何か言い訳を、と脳内をフル回転させて考えていたら、じいちゃんからの預かり物を思い出した。


すぐにカバンから、預かり物である一冊の本を取り出す。



「あの、ウメおばあちゃん、これを……」



俺はウメおばあちゃんに、その本を渡した。


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