オーロラの歌
オーロラが座りながら、口を開く。
「フロンティア・シティを訪れたのは、ウメおばあちゃんにその本を届けるためだったんです」
まさか、ウメおばあちゃんが俺達の知りたい情報を持っているとは、夢にも思わなかったぜ。
これも、何かの縁なのかもしれねぇな。
ウメおばあちゃんは、懐かしむように、それでいて深刻そうに、パラパラと禁断の魔法書のページを丁寧にめくっていった。
おそらく、確かめているんだ。
落書きなどされていないか、何者かに乱用されてはいないか、魔法を使われたような形跡はないか、そんなことを調べているんだ。
まあ、昔、俺の両親が使っちまったけど。
「……っ!」
「ウメおばあちゃん?」
最後のページを見て、息を呑んだウメおばあちゃんに、オーロラが不思議そうに首を傾げる。
どうかしたのか?
「ページが、破られてる」
「え!?」
ウメおばあちゃんがポツリと落とした言葉に、俺よりも早く、オーロラが驚きの声を上げた。