オーロラの歌



オーロラが座りながら、口を開く。



「フロンティア・シティを訪れたのは、ウメおばあちゃんにその本を届けるためだったんです」



まさか、ウメおばあちゃんが俺達の知りたい情報を持っているとは、夢にも思わなかったぜ。


これも、何かの縁なのかもしれねぇな。



ウメおばあちゃんは、懐かしむように、それでいて深刻そうに、パラパラと禁断の魔法書のページを丁寧にめくっていった。


おそらく、確かめているんだ。


落書きなどされていないか、何者かに乱用されてはいないか、魔法を使われたような形跡はないか、そんなことを調べているんだ。


まあ、昔、俺の両親が使っちまったけど。



「……っ!」


「ウメおばあちゃん?」



最後のページを見て、息を呑んだウメおばあちゃんに、オーロラが不思議そうに首を傾げる。


どうかしたのか?



「ページが、破られてる」


「え!?」



ウメおばあちゃんがポツリと落とした言葉に、俺よりも早く、オーロラが驚きの声を上げた。



< 317 / 888 >

この作品をシェア

pagetop