オーロラの歌



そういえば、前にじいちゃんが『一冊は魔法学校、もう一冊は王家が保管することになっている』って言っていたっけ。



「ここをご覧下さい」



ウメおばあちゃんが俺達に見せるために、テーブルに、注意書きが綴られたページを開いた禁断の魔法書を置いた。


そのページの端っこに小さく書かれた“Ⅰ”を、ウメおばあちゃんの指が示す。



「これは、一冊目の禁断の魔法書、という証です」


「それに、何かあるの~?」



グリンがまだよくわからなそうに尋ねる。


ウメおばあちゃんは、ゆっくりと目を伏せた。



「私は魔法学校の生徒だった時代から、この世にある危険な魔法を調査・研究してきました」



ウメおばあちゃんが語り出す。


静かな雰囲気が、俺達を包んでいった。



「何年もの時間を費やして、ようやく命に関わる危険な魔法を全て発見することができ、私はすぐにそれらをまとめました」


「まとめた物が、禁断の魔法書ってことですか?」



オーロラの問いかけに、ウメおばあちゃんはこくんと頷いた。



「そして、禁断の魔法書が国に認められ、国家の機密文書となったのです。私はそれをきっかけに、教師から王家に仕えるメイドへと転職いたしました」




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