オーロラの歌



仲間といると、自然と笑える。


それなのに、なぜか苦しさが胸をかすめるんだ。





「オーロラお姉ちゃーん」



朝食を食べ終えた頃、窓から子ども達が顔を出した。


以前に私とぶつかった女の子も一緒だ。



「どうしたの?」


「今日、お歌聴かせてくれる?」



あ、そういえばこの前、また歌を聴かせてあげるって約束してたんだった。


昨日は子ども達に旅の話を聞かせていたから、歌は歌わなかったんだ。



「もちろん、いいよ」


「やったあ!」



私が笑顔で頷くと、子ども達が嬉しそうに飛び跳ねた。


私の歌で誰かが喜んでくれることが、私の幸せ。


子ども達が満足するまで、歌うよ。



「じゃあ、ちょっと外に行ってくるね」



私は皆にそう伝えてから、子ども達と共に噴水のある場所まで向かった。



相変わらず、噴水はみすぼらしくて。


なんだか可哀想に思えてくる。


でも、これが子ども達にとっては日常で、当たり前だと思っている光景。



「どうしたの?オーロラお姉ちゃん」


「う、ううん、なんでもないよ」



子ども達のキラキラとした純粋な瞳に、私は嘘をつくことに抵抗を覚えた。



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