オーロラの歌




歌の時間は一旦休憩にし、子ども達とお昼ご飯を食べ始めた。


子ども達の美味しそうにサンドイッチを食べる姿を、噴水の座れるところに座って、少し遠くから眺める。


子ども達と最初に出会った時は、ひどく怯えていたけど。


今は、あんなにも生き生きとした表情をしている。



「……よかった、いつも通りのオーロラだ」


「え?」


「ううん、なんでもなーい」



私の隣に腰掛けたグリンが、とぼけた顔でかごからサンドイッチを取って頬張った。



「グリン、これ持ってきてくれてありがとう」


「どうせ暇してたから、別にいいよ~」



私は、サンドイッチをパクリと食べた。


イチゴジャムの入った、甘いサンドイッチだ。


今のフロンティア・シティはこの国一番の貧しい町なのに、ウメおばあちゃんは私や子ども達のために、少ない食料を分けてくれている。


この美味しさを忘れないように、大事に食べよう。



「ねぇ、グリン」


「今度は、なあに?」



私は、二つ目のサンドイッチを食べようとしていたグリンに、穏やかな口調で声をかける。


グリンは覚えているかな?



『そもそも、フロンティア・シティってどんな感じの町なんだよ』


『ん~、一言で言うと、汚い、かなあ』



フロンティア・シティにたどり着く前に、そう話していたことを。



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