オーロラの歌
私の家があるジェネシスの森も、ラジの故郷のエストレア・シティも、観光地として賑わっているアストラル・グラウンドも、グリンの故郷のフロンティア・シティも、貴族ばかりのクリスタル・タウンも、女王様がいるセイント城も。
直接見て、触れて、感じて。
ずっと覚えていたい。
もう二度と来れなくても、目を閉じたら思い出せるように。
たとえ、どんなにこの国が女王様に私物化されていても、残酷なくらい汚れてしまっても。
私の、生まれ育った国への思いは穢れずに大切なままだから。
「……そういうところも、アンジェラス様に似てらっしゃいますね」
ボソッと呟いたウメおばあちゃんは、切なげに微笑むと、私の手をギュッと握った。
「わかりました。ですが、なにかございましたら、魔法でも何でも使って、すぐに私にご連絡してくださいませ」
ウメおばあちゃんの寂しそうな目に、私がくっきりと映り込む。
別れは、いつだって辛くなる。
「もちろんです」
そう返事をすると、ウメおばあちゃんはさっきよりも強く私の手を握り締めた。
淀みきった雰囲気が吹き飛ばされ。
不透明な縁が、関係を結んだなら。
きっと、希望の象徴となる花が咲く。