オーロラの歌
「結構な回り道になるな。他に道はなかったのか?」
「このルート以外は、警備隊でうじゃうじゃしていたぞ」
「まじかよ……」
ラジとシエルがため息混じりに話している間に、私は横からマップを覗いて、シエルが教えてくれたルートを目で追う。
やっぱり、路地や脇道を多く利用するみたいだ。
大通りや繁華街を通ろうとすれば、警備隊に一発で見つかっちゃうもんね。
「早く行かないと、安全なルートもダメになっちゃうよ~?」
グリンに急かされ、私達は路地裏を曲がり、素早く別の路地へ移動した。
警備隊がいつ、どこへ移動しているかわからない。
だから、安全なうちに、目指している階段に近づかなければいけない。
この街は有名な観光地と呼ばれているだけあって、建物も人も多い。
時々人に紛れながら、建物の影に忍びながら進むには、案外最適なのかもしれない。
逃げずに、前へ。
それが、とてつもなく大変で難しい。
追われている身となれば、なおさらのこと。
それでも、行かなければいけない理由があるから、足を止めたりしない。
純粋で単純な思いが、疲れも不安も緊張も、欠片くらいは忘れさせてくれる。