オーロラの歌
泣いてほしくない。
悲しげな表情を、しないでくれ。
『ちょ、ちょっと待ってろ!』
グスッと鼻をすする少女に、俺はそう叫んで、一旦この場から離れた。
森に咲く可愛らしい花を摘み取って、少女のところに戻る。
俺は何をやってるんだ?
たった一人の弱々しい少女のために、初対面の奴のために、必死になってるなんて。
自分のことなのに、わからない。
どうしてこんなに、少女を想って、動いているのか。
『これは……?』
『見てわかるだろ』
摘み取った花で作ってやった冠を、少女の頭に乗せた。
初めて作ってみたが、なかなかうまくできたと思う。
『私のために、わざわざ作ってくれたの?』
少女の涙は、いつの間にか止まっていた。