オーロラの歌
玄関の扉サイズに開いた壁を不思議に思いながら、グリンのあとを追うように屋敷の中に入る。
もしかして、スイッチを押した直後に聞こえてきたあの凄まじい音は、この壁が上へと上がっていく音だったの?
私が屋敷に入って数秒後、ゴゴゴゴゴ、と再び音を立てながら、上がっていた壁が自動で下がり、元の状態に戻った。
奇妙で謎めいたからくり屋敷の中は、真っ暗だった。
グリンは迷わず、とある部屋の扉を開ける。
その扉の先には、殺風景な部屋があった。
部屋の右隅に行ったグリンは、ドスンッと強く床を蹴ると、今度は床の一部がギギギ、と開いた。
……この家の仕組みは、一体どうなってるの?
いろいろとおかしすぎでしょ。
開いた薄い床の下には、なぜかコンクリートで造られた階段があった。
地下に続く階段?
「この階段から、セイント城に行けるんだよ~」
グリンはそう説明して、階段を下りていく。
グリンがこんなすごい情報をどういった経緯で手に入れたのかは不明だけど、今はそんなことどうでもいい。
私もグリンに置いてかれないように、階段を一段ずつ慎重に下りていった。