オーロラの歌
吐く息が白く染まるほど、寒々しい地下。
階段を下りきると、長くて狭い一本道が待っていた。
暗くて前がよく見えない中、止めることなく足を進める。
屋敷の仕掛けはあんなに手の込んだ精密なものだったのに、隠し通路自体がコンクリートばかりの冷たいものだなんて、なんだか拍子抜けだ。
「ラジとシエルにこの隠し通路の場所を、メッセージでも残して伝えておけばよかったかな」
「あの二人なら、なんとかなるでしょー」
気楽そうなグリンの考え方に、ため息をこぼす。
まあ、二人は強いから、警備隊に捕まってはいないと思うけど。
さすがに隠し通路まではたどり着けなくて、正門で私達を待っているかもしれない。
……心配になってきちゃったな。
「やっぱり引き返して、屋敷の前で二人を待たない?」
「えぇ、いいの~?」
いいのって、何が?
「せっかく、灯りが見えてきたのにさあ」
グリンの声に導かれるように、ゆっくりと前を見据える。
隠し通路のゴール地点に、三つの灯火が熱く揺らめいていた。
「ねぇ、オーロラ。先へ行くよね?」