オーロラの歌



浮ついた繁華街や男の陽気な声が、俺に嫌な予感を運んできた。


男二人の会話に耳をすませてみる。



「何を?」


「オーロラって奴のことさ」


「あぁ、あの極悪人の?そいつがどうかしたのか?」



オーロラ、という名前に耳がピクリと動く。


ラジの方を見ると、深刻な顔で俺を見ていた。



「このまま、あの男二人の話を聞いてみよう」



小声で言ってきたラジに、俺は即座に頷いた。


男二人の服装や持ち物からして、クリスタル・タウンの記者らしい。


記者というと、情報を多く持っているイメージがある。


もしや、もうオーロラがこの街に来ていることがバレているのか?




「そいつが、今日急遽セイント城で行われることになったパーティーで、女王様直々に処刑されるらしいぜ」




……え?


オーロラが、処刑される?


オーロラの母親を殺そうとした、最低な女王に?



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