オーロラの歌





『ねぇ、聞いてもいい?お兄さんの名前』


『お前が先に名乗れ』



上目遣いで聞いてきた少女に、俺は上から目線で言い返す。



『私は、オーロラ』



少女の名前を、すぐに覚えた。


オーロラ、か。


いい名前だな。



『俺の名前は、シエル』



昔から、精霊は神のような存在として、人間に敬われ、寵愛されてきた。


そんな精霊は、生涯でたった一人だけ、“主”を決めることができる。


もしも、守りたい人に出会えたら、その時は……。



『オーロラ』



――主に己の全てを捧げ、運命を共に。




『今日からお前が、俺の主だ』





< 40 / 888 >

この作品をシェア

pagetop