オーロラの歌
『ねぇ、聞いてもいい?お兄さんの名前』
『お前が先に名乗れ』
上目遣いで聞いてきた少女に、俺は上から目線で言い返す。
『私は、オーロラ』
少女の名前を、すぐに覚えた。
オーロラ、か。
いい名前だな。
『俺の名前は、シエル』
昔から、精霊は神のような存在として、人間に敬われ、寵愛されてきた。
そんな精霊は、生涯でたった一人だけ、“主”を決めることができる。
もしも、守りたい人に出会えたら、その時は……。
『オーロラ』
――主に己の全てを捧げ、運命を共に。
『今日からお前が、俺の主だ』