オーロラの歌




……私、知ってる。


前にも、メイド達に似た人の姿を見たことがある。



過去を遡って、思い出す。


ラジの故郷であるエストレア・シティで、催眠魔法にかけられた街の住人達が、私を殺そうとした時のことを。



そうだ。


催眠魔法をかけられた、あの姿と同じなんだ。


ということは、三人のメイドも洗脳されているってこと?


一体、誰に?



「オーロラ様、少々手荒くなりますが、ご了承ください」



いろいろと考え込んでいたら、メイド達に囲まれてしまっていた。


逃げ場がない。


メイド達に圧倒されてたじろぐ私に、一斉に襲いかかってきた。


悲鳴を上げる暇もなく、メイド達にされるがまま。



そして、十分後。


メイド達が私から離れ、メイドの一人が私を鏡の前へ移動させた。


瞑っていた目を開けて、鏡に映る自分の姿を見てみる。



「これが、私……?」



さっき手渡された淡いピンクのドレスに、華奢なネックレス。


ふわふわに巻かれた髪には、小さなリボンのついた白い造花が。



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