オーロラの歌
廊下を突き進んだ先に、大きな扉があった。
私を先導していたメイド達は、扉の横にそれる。
メイド達が頭を下げ、私にパーティー会場はこの扉の向こうだと知らせる。
私は深呼吸をしてから、金色のドアノブに触れた。
加速する鼓動を落ち着かせながら、手に力を入れる。
扉の向こうにあるのがどんな世界でも、踏み込まなければいけない。
怖がっていては、何も始まらない。
覚悟を決めた私は、芸術的な彫刻が掘られた扉を、静かに開けていく。
「さようなら、オーロラ様」
開いていく扉が鳴らすギィ、という鈍い音に混じって、メイドの三人のうちの誰かの声が、私に不安を植え付けた。
地獄の門番のような、温度のない声だった。
手が震え始めた時にはもう、扉は全開だった。
扉を開けた先にあった大広間に一歩踏み入れると、盛大な拍手に包まれた。
思わず、足を止める。
「さて、ここでスペシャルゲストの登場です」