オーロラの歌



聞いたことのない、けれど心臓を鷲掴むその声のした方へ、顔を向ける。


大広間の一番奥にある、一際目立つステージの上へ。



「この世で最も重い罪人、オーロラ!」



大広間にいる、パーティーに招かれた客である貴族達が、拍手をやめて怯え出す。


でも、私には客なんて見えてなくて。


私の目は、ただ一点だけを捉えていた。



「どうぞこちらへ」



ステージ上で私を呼ぶ、あの人は。




「女王様……っ」




初めて会ったのに、抱くのは苦しさばかり。


女王様の真紅色の髪に誘われるように、ステージへと向かう。



お母さんを憎み、私を殺したがっている女王様が、私をこのパーティーに招いた張本人だとしたら。


これは、女王様の罠?



『女王様から、国のことも私のこともお母さんのことも、ちゃんと聞きたい。女王様の言葉が、聞きたいの』



フロンティア・シティで言ったことが、脳裏をかすめた。


それが私の使命ならば、このパーティーが罠だとしても、この場を離れたりしない。



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