オーロラの歌
クリスタル・タウンに来たのは、女王様に会いに来たのは、殺されるためじゃない。
この国を救うためだ。
なのに、私は何もできていない。
こんなの、ただ殺されにきたも同然じゃないか。
重たい心臓が、圧縮する。
呼吸すら、まともにできない。
涙が、目尻に溜まった。
まだ、死ねない。
まだ、生きていたい。
やるべきことが、残っているのだから。
「やっと、地獄に堕とせるわ」
そんな私の願望を、女王様は機嫌よく潰していく。
跡形もなく、粉々に。
「あなたがいやしの歌を受け継いでしまったのがいけないの」
「っ、」
どんなに抵抗しても、抗っても、もがいても、ムチからも女王様の手からも逃れられなかった。
運命の終焉を迎えたくはないのに。
「ゲームセットよ」
女王様はそう囁き、嬉々としてナイフを振り上げた。