オーロラの歌




「“シルバー・レイ”」



続いて聞こえてきた、さっきとは違う声の主が紡ぐ呪文。


直後、扉のある方向から、光のエネルギーが凝縮された光の弾丸がステージの方へ飛んできた。


光の弾丸は、女王様のナイフを持っていた手にぶつかり、女王様の手にひどい火傷を負わせた。


女王様の手から落とされた、豪華なナイフ。



「オーロラ!」


「助けに来たぞ!」



大広間に駆けつけてくれたのは、シエルとラジだった。


やっと、会えた。


二人の顔を見て安心したからか、ポロポロと涙が流れた。



「ウッド・ラピス」



シエルが先程と同じ魔法をゼロさんに使い、草木をゼロさんの体に這わせ、ゼロさんの手からムチを取り上げ、私を自由にしてくれた。



「グリン、オーロラを捕まえて!」


「はいはーい」



女王様が命令を下し、グリンは狼男の姿に変身してから私に迫ってきた。


グリンの目は寂しそうで、それでいて惑わそうとしているようだった。



「“サンクチュアリ・ジャッジ”」



扉の近くにいるラジが私に手のひらを向け、呪文を唱えると、ラジの手のひらから光でできた縄が出てきた。


その縄が私をがっちりと束縛したことを確認したラジは、私がグリンに捕えられる前に、縄を自分の元に引っ張った。


縄に繋がられた私は、宙を舞いながらステージから扉の方へ連れられ。


ラジが、私をお姫様抱っこして、キャッチしてくれた。



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