オーロラの歌
ねぇ、グリン。
本当に、私達とは別の道を行こうとしているの?
こんな別れ方、嫌だよ。
裏切られたなんて、思いたくないよ。
グリン、今からでも遅くないから、応えてよ。
大広間で、招待客は動揺していた。
怒りと憎しみで乱れていた女王様の能力が暴走して、城の外で雷鳴が幾度となく轟く。
「誰か、オーロラを……あいつらを追って!」
「僕が追います」
「頼んだわよ、ゼロ」
荒れ狂った女王様の指示で、ゼロさんは駆け出した。
そんなことを知る由もなく、私はラジとシエルと一緒に、度々後ろを気にしながら、長い長い廊下を走っていた。
「わっ」
曲がり角で転んでしまい、膝から血が出る。
そういえば、ヒールを履いていたんだっけ。
「大丈夫か?」
「うん、平気」
シエルが差し伸べてくれた手に自分の手を重ねて、起き上がる。
私は走りづらいヒールを脱ぎ捨てて、再び走り出そうとした。