オーロラの歌



しかし、



「オーロラさん!!」



背後から聞こえてきたゼロさんが私を呼ぶ声に、反射的に動き出そうとした足を止めて、振り返ってしまった。


どうして、私は足を止めてしまったんだろう。


痛いくらいわかっているはずなのに、逃げなくちゃいけない、という思考が強制的にストップされる。



「待ってください」


「こいつに手出しはさせねぇ」



私達に追いついたゼロさんに、ラジは私の盾となり、対抗心をむき出しにしてゼロさんを睨みつける。



「オーロラさん、手を」



私に催眠魔法がかけられているわけじゃないのに、手が勝手にゼロさんの方へ伸ばされていく。



……きっと、それは。


半分だけ同じ血が、私とゼロさんを引き合わせる神秘な引力となっているから。



私の手とゼロさんの手が、繋がる。


ゼロさんの冷たい手を、私の体温が温めていく。


あぁ、切なくて、懐かしい。



「そちらの二人も、オーロラさんの手に触れてください」



ゼロさんは、何をするつもりなの?



「敵の言うことを信じられっかよ」




< 424 / 888 >

この作品をシェア

pagetop