オーロラの歌
しかし、
「オーロラさん!!」
背後から聞こえてきたゼロさんが私を呼ぶ声に、反射的に動き出そうとした足を止めて、振り返ってしまった。
どうして、私は足を止めてしまったんだろう。
痛いくらいわかっているはずなのに、逃げなくちゃいけない、という思考が強制的にストップされる。
「待ってください」
「こいつに手出しはさせねぇ」
私達に追いついたゼロさんに、ラジは私の盾となり、対抗心をむき出しにしてゼロさんを睨みつける。
「オーロラさん、手を」
私に催眠魔法がかけられているわけじゃないのに、手が勝手にゼロさんの方へ伸ばされていく。
……きっと、それは。
半分だけ同じ血が、私とゼロさんを引き合わせる神秘な引力となっているから。
私の手とゼロさんの手が、繋がる。
ゼロさんの冷たい手を、私の体温が温めていく。
あぁ、切なくて、懐かしい。
「そちらの二人も、オーロラさんの手に触れてください」
ゼロさんは、何をするつもりなの?
「敵の言うことを信じられっかよ」