オーロラの歌



原因は、子どもながらにわかっていた。


お母様のせいだ。


お母様が、ロボットにさせる魔法をかけているんだ。


この城にいる者全員に。


もちろん、僕やお父様も例外ではない。


この世界の独裁者であるお母様は、僕を愛してくれているけど、多分それは道具の一つとしてなのだろう。



『うっ……』



いきなり苦しみだしたお父様。


お父様、どうしたの!?



『……ぜ、ろ』


『はい』



お父様が、感情的に僕の名前を呼んだ。


そのことに驚きながらも、機械のようにしか返事できないことを恨んだ。



『数年の間、心の中で魔法をかけ続けた甲斐があった』



独り言を呟いたお父様は、辛そうに顔を歪めながら、僕の両肩を掴んだ。



『いいか、よく聞け』


『……』


『イービルの催眠魔法を既にかけられてしまったお前は、これから先、イービルの魔法を避けることはできないのかもしれない』



お父様は、『だが』と続けて話す。



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