オーロラの歌



漆黒の目が、真っ赤に?


そんなの、嫌だよ。


だって、黒は僕の大好きな色なんだ。


お父様の髪色と同じ、黒色が。


なのに、塗りつぶされてしまうの?



『っ、タイムリミットが、来てしまったらしい』


『……』


『伝えられなくても、ずっとお前を愛しているからな』


『……、』



消えないで、お父様。


ロボットになってしまわないで。


もっとお話しようよ。


つー、と左目から涙がこぼれた。



『ゼロ、頑張れよ』



そう言い残して、お父様の心の扉は固く閉ざされてしまった。


温度も感情も感じないお父様に戻ってしまい、僕の涙は乾いていく。



お父様、僕頑張るよ。


だから、ずっと見守っていてね。



そんな僕の願いが崩れ去ったのは、数日後、僕が五歳になった日のことだった。



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