オーロラの歌




夕方に行われた、僕の誕生日会。


お母様とお父様に囲まれて、表情には出せないけど、幸せだった。


しかし、誕生日会の終わりに、突然お母様が叫び声を上げた。



『どうしてよっ!!』



怖くて仕方がなかった。


お母様が何に対して怒っているのか、わからなかった。



『どうして、ゼロにいやしの歌が受け継がれないの!?』



いやしの歌、という能力はお母様からよく聞かされていた。


あぁ、と理解する。


そうか、お母様は神様を憎んでいるのか。



『あなたの教育が悪かったせいよ』



お母様が八つ当たりした相手は、お父様だった。


やめて、お母様。


お父様が悪いんじゃない。


きっと、僕がいけなかったんだ。


だから、お父様を叱らないで。



……やっぱり、僕の言葉は声になってくれない。



お父様が左目にかけてくれた無効化の魔法は、気まぐれにしか働いてはくれない。


僕がいくら無効化してほしくても、時々にしか催眠魔法を解いてはくれないんだ。



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