オーロラの歌





姉さんと三度目の再会を果たしたのは、


クリスタル・タウンの高級住宅街にある公園の、バラと木々で造られたトンネルを通り抜けた先にある、大きな大きな樹木が立っている、秘密基地のような小さな平地だった。




お母様に頼まれて、街で一番高いナイフを購入した僕は、突然雨が降ってきたので、近くの公園で雨宿りをしていた。



『ゼロさ、ん……?』



そんな時聞こえてきた声に、まさかと思いながら声のした方に目を向けると、そこには息を乱した姉さんがいた。


姉さんに会った途端、催眠魔法が無効になる。



『ど、して、オーロラさんがこんなところに……?』


『あ、えっと、雨宿りに』



姉さんがこの街に来ていることは、グリンから報告されていた。


その報告がきっかけで、今日パーティーを行うことになったんだ。


だが、こんなところで会うなんて、想像していなかった。


神様がイタズラに、僕達を巡り合わせたのだろうか。



僕が左目のことを話したら、姉さんは左目をじっと見つめてきた。



『気味悪くなんてないですよ』


『……え?』


『とっても、とっても、綺麗な目です』


『オーロラさん……』



綺麗なんかじゃない。


大嫌いな色に染まっていく左目なんか。


お父様の愛を消していく、赤色なんか。



そう、思っているはずなのに。


姉さんの言葉が、胸に沁みる。



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