オーロラの歌
『ゼロさん、歌はお好きですか?』
唐突にそんな質問をされて、驚いた。
いやしの歌は、姉さんが歌うなら、好きになれる。
『ゼロさんが抱いている悲しみも、この雨も、晴らしてみせましょう』
姉さんは胸元を抑え、目を伏せる。
姉さん、歌ってくれるの?
僕だけのために、僕のことを想って。
芽生えた嬉しさは、
『♪~~ごめんねって泣い』
フッと過ぎった、姉さんを殺したがっているお母様の悪魔のような笑みによって、かき消された。
『やめろっ!!』
無意識に、叫んでいた。
心臓がちぎれてしまいそうだった。
『……歌は、嫌いなんだ』
そう言えば、姉さんは悲しげに俯いた。
ごめんね、姉さん。
嘘をついて、ごめん。