オーロラの歌
アストラル・グラウンドにも、物騒な部分があるんだ。へぇ、そっか。
……その程度にしか、感じられない。
『殺し屋になれば、多額の収入を得られるぞ。盗む必要もなくなる』
マッチョ野郎が出してきたメリットは、生に対して貪欲な僕の心を揺さぶった。
こんな蔑まれた生活を、しなくてすむの?
あんた達の誘いに乗れば。
『どうだ?一緒に来ないか』
殺し屋ってことは、誰かを殺すってことだ。
今よりももっと、闇に浸かってしまう。
でも、悪が君臨する闇なんか怖くない。
怖いのは、死ぬことだけだ。
『別にいいよ』
コロッと変わった返事に、マッチョ野郎は予想外だったのか目を丸くした。
しかし、すぐにマッチョ野郎は口角を上げた。
『よろしくな、坊主』
『坊主呼ばわりしないでくれるー?』
そして、僕の、殺し屋としての人生が始まった。
徐々に力をつけていった僕は、嘘を吐いて、見知らぬ人を殺して、自分の心臓を守り続けた。
赤の他人の、生ぬるくて気持ち悪い血に慣れていくのと同時に、僕の中にあった感情が一つまた一つと欠落していった。