オーロラの歌
六年の月日が流れた、ある日の夕方。
いつも通り、殺し屋としての仕事を全うした帰り道。
明るさを苦手とする路地裏で、誰かとぶつかってしまい、尻餅をついた。
『あら、ごめんなさい』
頭上から聞こえた品のある声に、顔を上げた。
そこにいたのは、この国の女王様だった。
な、なんでこんなところに、女王様が……!?
『す、すみません!!』
僕は慌てて土下座をして謝った。
女王様は笑顔で、僕を許してくれた。
女王様って優しい人なんだな、と最初は思ったが、女王様の笑顔を見て気づいた。
……あ、僕と同じだ。
作られたその笑顔は、不気味なくらい最高な出来栄えだった。
きっと、怒り叫んでいる内心を隠して、お忍びでやってきたことが騒ぎにならないように、アストラル・グラウンドでの自分の評価を下げないように、僕に笑顔を向けているんだ。
『あの、この近くに有能な殺し屋の狼がいると聞いてきたんですが、ご存知ありません?』
それはまさしく、僕のことだった。
どうして、女王様が殺し屋を……僕を探しているんだ?
まさか、僕を打ち首にするために?