オーロラの歌
数日後、女王様は僕をセイント城に招いた。
『それが、あたしの所有物である証よ』
先程、左頬につけられたイナズマのタトゥー。
僕を駒に使う女王様の本性を、直接見せつけられたようだった。
『グリンさん、こちらをどうぞ』
そう言って僕にある物を渡してきたのは、女王様の息子であるゼロさんだった。
受け取った物は、二つのピアス。
一つはカモフラージュの普通のピアスだそうだが、もう一つにはGPSが組み込まれているらしい。
このピアスを付けていれば、女王様に僕の居場所が筒抜けになるってわけか。
女王様は意外と用心深く、慎重なのかもしれない。
ゼロさんの無機質な目が、僕のこの先の運命を教える。
あぁ、そうか。
僕も、あんなゾンビみたいになっちゃうんだ。
察しが良すぎるのも、困る。
苦しさが、膨れ上がってしまうから。
『デス・ディメント』
ピアスを付けた僕に、女王様が魔法をかける。
『あたしの依頼をこなしなさい。できるだけ、あなたらしく、ね』
その指示に従うように、僕の意思の半分が女王様のものとなり、残りの半分は『あなたらしく』という言葉のおかげで、自由を許された。
女王様がわざわざ、少女を殺すのに僕らしさを求めたのは、多分僕の殺し屋としての腕を見込んでのことだろう。