オーロラの歌
僕の出る幕はないかなー?
もう帰ってしまおうか、と欠伸をしたら。
オーロラが、歌を歌いだした。
次の瞬間、オーロラを殺そうとした奴は、オーロラの首から手を放した。
『な……っ!?』
相手の殺意を消すなんて、そんなのアリ?
楽な仕事だと、たかをくくっていたけれど、実際は相当大変なのかもしれない。
本気を出さなくちゃいけないな。
まずは挨拶がてら、ナイフでも投げつけようかな。
僕は常に隠し持っているナイフを、窓から顔を出すオーロラの心臓を狙って飛ばした。
しかし、そのナイフは少年に止められ、少年はナイフが飛んできた方向……つまり僕のいる方をめがけて、光の魔法を使った。
予想外の敵からの魔法で、僕が立っていた木の枝が折れて、地面に落ちてしまった。
『いった~』
木の枝の先で右頬に傷つけちゃったし、最悪。
すると、オーロラが窓を超えて、僕の目の前まで駆け寄ってきた。
オーロラの手が、怪我をした右頬に触れた。
『な、にして……』
『大丈夫だよ』
驚きを隠せなかった。