オーロラの歌





それから、なぜかオーロラにお茶に誘われて。


僕とさっきオーロラを殺そうとしていたラジは、仕方なく、オーロラとお茶会をすることになった。



『オーロラは、ここから離れた方がいい』



ラジの言葉に、オーロラは震えた。


怖がっているオーロラの姿に、ちょっと同情してしまう。


悲しすぎる現実を長々と話したラジの眼差しが、オーロラを捉える。



『俺も一緒に行く』


『一緒って……』


『俺が、オーロラを守るよ』



なにをバカなことを言っているんだ、こいつは。


守るって言ったって、オーロラの敵はこの世界全て。


そんなの、守りきれっこない。



けれど、ラジは何もかもを知った上で、オーロラのそばにいようと決めた。



……すごいな。


僕は、自分を守ることしかできない。


自分を犠牲にして誰かを守ろうだなんて、考えたことがなかった。



素直に、羨ましく思えた。


ラジが、オーロラが、キラキラとしていて。


暗い場所で生きてきた僕には、眩しすぎて、直視できない。



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