オーロラの歌
――長い長い旅が幕を開けた。
面倒な事情に巻き込まれたエストレア・シティと別れた僕達は、アストラル・グラウンドへ向かう途中の草原で休憩していた。
『空ってさ、遠いよねぇ』
草原に寝そべって青空を眺めていたら、不意にこぼれた声。
隣で僕と同じように横になっているオーロラは、『う、うん』と返事をする。
『こんなに手を伸ばしてるのに、かすりもしない』
空は、きっと温もりを知らない。
あの遠い空には、誰も寄り添えない。
『まるで』
伸ばしていた手を、下ろしていく。
『僕みたいだ』
僕は、空は、孤独だ。
自分だけの空間を保っているだけ。
そのテリトリーには絶対に侵入できずに、届かないまま。
『全然違うよ』
オーロラにはっきりと否定され、目を見開く。
僕のことを何も知らないくせに、勝手なこと言うな。
『ねぇ、グリン』
僕とオーロラは上半身を起こして、見つめ合う。