オーロラの歌
オーロラの小さな手のひらが、ふわり、と僕の右頬を温めた。
『グリンには、触れられるよ』
瞳が潤んでいく。
……違う、違うんだよ。
『グリンも、私に触れられるでしょ?』
オーロラ、違うんだ。
本当は、僕に届いちゃいけないんだ。
触れちゃいけないんだ。
だって、僕は醜いから。
僕は、汚れを知ってしまったから。
オーロラは、先程カバンから取り出したヘアピンで。
嘘にまみれた浅ましい自分を少しでも隠したくて伸ばしていた前髪を、右に流して留めた。
オーロラの髪色と同じ、エメラルドグリーンのヘアピンだ。
『グリンのこと、今までよりももっと、近くに感じる』
僕なんかを仲間だと思ってくれているオーロラは、優しすぎるね。
こんな僕を近くにいさせてくれて、オーロラを守らせてくれて、笑いかけてくれて、
『ありがとう、オーロラ』
オーロラは、どんな僕も受け入れてくれる。
でも、僕の正体を打ち明けても、オーロラはそばにいてくれるのだろうか。