オーロラの歌
辛くて、辛くて。
時間を巻戻してほしいくらい、辛くて。
もしも、オーロラと出会ったのが、殺し屋としての僕ではなく、ただの僕だったら。
もしも、女王様に会う前に、オーロラと会っていたら。
そんな空想をしては、理不尽な“今”に感情を殺された。
アストラル・グラウンドでなんとか警備隊を撒いて、フロンティア・シティへ行こうと、乾燥した大地を歩く。
『そもそも、フロンティア・シティってどんな感じの町なんだよ』
『ん~、一言で言うと、汚い、かなあ』
僕の故郷で獣族の住処である、フロンティア・シティ。
光を失くした、愚かな町。
国に滅ぼされそうになっていると言っても過言ではない。
この僕の生まれた町が、綺麗なわけないじゃん。
町の再生を望んでいた、住人達の脆い気持ちは捻れてしまって。
朽ちていく町の姿は、誰の視界にも汚く映るだろう。
『ぐ、グリン』
オーロラのか細い声が、僕の心をノックする。