オーロラの歌





「♪~~世界で一番好きだから 流れ星に祈らなくても~~♪」




いきなり歌い始めたのは、私ではなくラジだ。


私を元気づけようと、支えようと、私を想って歌ってくれているの?



恥ずかしそうに、だけど堂々と歌うラジの姿が、霞んだ視界に映る。


ラジの歌は、シエルが呆れてしまうくらい、お世辞にも上手だとは言えなくて。


それでも、愛しくて。



また、瞳が潤んだ。


温かい涙が、私の濡れた頬を撫でる。



ラジには私のような能力はないはずなのに、歌を聴けば聴くほど、確かな愛に包まれていった。


歌って、不思議だなあ。


苦しさが、和らいでいく。



「ラジ、歌ってくれてありがとう。シエルも、背中をさすってくれてありがとう」



泣いた後は、笑おう。


そうすれば、きっと笑顔が心を強くし、幸せが運ばれてくるから。



「失敗を悔いても仕方ない。もう一度、立ち向かえばいいだけだ」


「シエルの言う通りだ。悲しんだ分、前に進もう」



シエルとラジが、私に手を差し伸べる。


胸に掲げた覚悟に、仲間からもらった勇気を灯して。


未来を煌めかす希望を、掴んでみせよう。



「うん……!」



私は、二人の手に自分の手を重ねて、立ち上がった。



信じていれば、諦めなければ、やり直したい気持ちがあれば、この世界を救えるはずだ。


そうだよね?お母さん。



< 468 / 888 >

この作品をシェア

pagetop