オーロラの歌
それから、私達はウメおばあちゃんの家を訪ねた。
ウメおばあちゃんは、私達の訪問に驚いていたが、私の真っ赤に腫れた目を見て、事情を汲み取り、快く家の中に迎え入れてくれた。
「私は、いつでもオーロラ様の味方です」
ウメおばあちゃんがそう言って淹れてくれた紅茶は、ちょうどいい甘さで、とても優しい味がした。
私は、決して独りじゃない。
皆がそばにいてくれる。
だから、恐怖を乗り越えて、頑張れる。
まん丸のお月様が微笑む、真夜中。
皆には早く寝るように言われたけれど、どうしても寝付けなくて。
ベランダで一人、複雑に混ざり合った感情を落ち着かせていた。
肌寒い夜風が吹いて、ゼロさんが最後に声には出さずに『さよなら』と囁いたことを、思い出す。
いつもは『また、会いましょう』って言うのに。
なんでさっきは、二度と会うことがないような、あんな別れの言葉を言ったんだろう。
私、ゼロさんともっと話したいよ。
私はあなたの姉なんだよって、本当は家族なんだよって。
私の手を一度は拒んだグリンとも、私の手と繋がったゼロさんとも、また会える。
ううん、私が会いにいくんだ。
私は、ここに来る前にカバンから丁寧に取り出したお母さんからの手紙を、静かに読み始めた。
……お母さん。
鉄のように固い覚悟を抱くための、揺るぎないパワーをちょうだい。