オーロラの歌




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親愛なるオーロラへ



あなたがこれを読んでいるということは、私は既にこの世にはいないのね。


大切なあなたを一人残して逝くのは心苦しいけれど、きっとあなたなら大丈夫。


なんたって、私の娘だもの。


それに、あなたの心の中には、信じ、許し合う気持ちがちゃんとあるから、大丈夫だとはっきり言える。



ねぇ、オーロラ。


私があなたによく“君に贈る幸せのかたち”を歌っていたのは、なぜかわかる?


……それはね、あなたの未来が、笑顔が絶えないキラキラと眩いものになってほしいから。


そして、もう一つ。


あなたにこの歌を覚えてほしかったの。


もしも、あなたが私のわがままを叶えてくれるのなら、歌に込めた私の想いを、あなたが代わりにタイトルの「君」に届けて。


今は「君」が誰なのか明かせないけれど、あなたなら「君」が誰なのか気づいてくれると信じてるわ。



私は、「君」を笑顔にできなかった。


だけどあなたは、私のようになってはダメよ。


いつか「君」も、これから出会う人達も、笑顔にさせられる人になってね。



私ね、本当はずっと嘆いていたの。


あなたに、いやしの歌が受け継がれてしまったから。


あなたは私のせいで、その能力のせいで、傷つき、涙を流すかもしれない。


だから、先に謝らせて。


あなたを辛い運命に巻き込んで、ごめんね。


でも、どうかお願い。


誰も憎まないで。


どんなことが起ころうとも、己の気持ちに耳を傾けて。



最後に、いやしの歌の秘密を、あなたに教えるわ。



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