オーロラの歌
いやしの歌の秘密が書いてある文章を読む前に、手紙をたたんで、ポケットに入れた。
改めて秘密を確かめたら、せっかくの覚悟が無駄になる気がして。
お母さんが死んで、喪失感に囚われていた私は、家にあるお母さんの物を片っ端から出して、お母さんの思い出に浸った。
その時に、見つけてしまったんだ。
棚の奥に隠してあった、とある楽譜を。
その楽譜の裏にはお母さんの文字で、“オーロラに捧ぐ歌”と綴られてあった。
あの時は嬉しくて泣いてしまったっけ。
お母さんが、私を想って作った歌。
お母さんが手書きで書いてくれた、歌詞も曲も、すぐに記憶してしまうほど大好きになった。
瞼を閉じて、ゆっくりと開いていく瞳で、羽衣を纏った流れ星を捕まえた。
沈黙の夜に、歌声を奏でよう。
「未来に幸あれ」
仲間に、運命に、世界に
永久に輝き続ける光があらんことを。
「♪~~
コップいっぱいの涙と
架けられた虹が照らす
苦手な嘘をついた君に
幸せが舞い込むように
甘さが欠けてる未来の
続きに溺れたとしても
長くて深い夢の奥底に
手を差し伸べてあげる
もしも笑えなくなって
君が苦しいと叫んだら
星達と共に歌を紡ぐよ
きっとあと爪先分だけ
踏み出したら出会える
奇跡がぶつかり合って
迷子の想いを抱きしめ
世界の彼方で待ってる
眠っていた愛に囁こう
~~♪」