オーロラの歌




お母さんの愛情が、胸の内側に流れ込んでくる。


どれだけお母さんが私を大事に想ってくれていたか、歌を歌うとよくわかる。


お母さんが生きている間に、「大好き」って、もっと伝えておけばよかったな。



「さっき歌ってたの、なんて歌?」



背後から声が聞こえて振り返ると、そこにはラジがいた。


ラジは私の隣に来て、手すりに肘を置き、頬杖をつく。


ラジに歌を聴かれてたなんて、びっくりしちゃった。


もう寝たと思ってたんだもん。




「“あいのうた”っていうの」




天にいるお母さんがくれた、最高のプレゼント。



「へぇ、そうなんだ。初めて聴いた歌だったな」


「お母さんが作ってくれた歌なんだ」



どんな時だって忘れたことがないくらい、大切な歌。



「俺、さっきの……“あいのうた”好きだな」


「え?」


「眠れなかった俺の耳にその歌が聴こえてきてさ、オーロラが歌ってたからかわかんねぇけど、オーロラの笑顔が頭に浮かんだんだ」



私の笑顔が……?


それって、間接的に“あいのうた”が私の歌だと、気付いたってこと?



「その歌を聴いてたら、オーロラに会いたくなって、ここに来ちまった」



困ったような笑みを向けるラジに、胸が高鳴る。


不思議と、視界がボヤけて。


枯れたと思っていた涙が、溜まり始める。



< 472 / 888 >

この作品をシェア

pagetop