オーロラの歌
お母さんの愛情が、胸の内側に流れ込んでくる。
どれだけお母さんが私を大事に想ってくれていたか、歌を歌うとよくわかる。
お母さんが生きている間に、「大好き」って、もっと伝えておけばよかったな。
「さっき歌ってたの、なんて歌?」
背後から声が聞こえて振り返ると、そこにはラジがいた。
ラジは私の隣に来て、手すりに肘を置き、頬杖をつく。
ラジに歌を聴かれてたなんて、びっくりしちゃった。
もう寝たと思ってたんだもん。
「“あいのうた”っていうの」
天にいるお母さんがくれた、最高のプレゼント。
「へぇ、そうなんだ。初めて聴いた歌だったな」
「お母さんが作ってくれた歌なんだ」
どんな時だって忘れたことがないくらい、大切な歌。
「俺、さっきの……“あいのうた”好きだな」
「え?」
「眠れなかった俺の耳にその歌が聴こえてきてさ、オーロラが歌ってたからかわかんねぇけど、オーロラの笑顔が頭に浮かんだんだ」
私の笑顔が……?
それって、間接的に“あいのうた”が私の歌だと、気付いたってこと?
「その歌を聴いてたら、オーロラに会いたくなって、ここに来ちまった」
困ったような笑みを向けるラジに、胸が高鳴る。
不思議と、視界がボヤけて。
枯れたと思っていた涙が、溜まり始める。